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2006年7月29日 (土)

トトロと千尋とゲド戦記

そろそろ初日第1回目の上映も全国で済んでますわな。

ずっと前にマスコミ試写会で観てたんですが…
一応、コメントは控えてました。

昨夜は「トトロ」をTVで見て
そのあとDVDで「千と千尋」まで見てしまいました。
やっぱり「親父」宮崎は、すごいわ。

いや、ゲド戦記だって、
これまで通りのジブリ路線なんですよ。
でも、「吾朗」は「親父」には、かないません。

昨日、Mステ見ながら、みんなでジブリ話もしてたんですが…
一人が「トトロは、公開当時、すんげー嫌いだった」と。
「ナウシカ」「ラピュタ」を撮った同じ人とは思えない
路線変更だった…というんですね。
確かに、びっくりはしましたし、当時大学生だった身としては、
子供連れに囲まれて観るのは、ちょっと抵抗ありました。
(でも、3度ほど、見に行きましたが…)

しかし、あのトトロがあったから今があるような気がします。
全作品の冒頭に出てくるのは、大トロの横顔だし、
DVDの頭にはメイちゃんと「さんぽ」が流れます。
88年公開ってことで、すでに18年。
当時、子供たちだった人も親になる頃で、
トトロ視聴者も第2世代にまで入ってるって事です。

ジブリ以前で言っても
「カリオストロ」だって、今でも色褪せない魅力があります。

ジブリ作品…いや宮崎アニメの共通した部分とは…?
それは「自然」と「冒険」と「成長」です。

え?トトロも同じか?って?
便利な世の中の現代、ゲド戦記のコピーじゃないですが
人々が病んでますよ。嫌な事件多いじゃないですか。

サツキもメイも、何も無くても、様々な物に興味を示して
遊ぶ姿が描かれます。子供が本来持つべき好奇心と
それを素直に受け入れて、温かく見守る両親や人々の姿は
現代人に忘れてる「大きな部分」である…という監督の想いは
「忘れ物を届けにきました」というコピーにも現れます。

二人は日々冒険をして、自然との調和の中、成長します。
その様子は、最後のエンドロール部分でイラストになって
現れます。
幼いメイでさえ、近所の赤ちゃんたちの世話をしています。
カンタや男の子たち、サツキたちも、世代を越えた子供達と
遊んでいます。

ノスタルジーだけじゃない、監督の強い想いが、1時間半に
込められているんです。

さて、今日公開の「ゲド戦記」。
同じく、「冒険」「自然」「成長」の3点が揃っています。
しかし、何かが違う。
それは…画の力。
「親父」宮崎は…画でモノを言う人でした。
台詞の隙間にある「間」と、人物の「立ち振る舞い」「表情」で
全てを物語る技がありました。

それは、欧米のクリエイターでは成し得ない日本人独特の
省略による手法です。わずか17文字で成立する俳句や
墨のタッチだけで表現する山水画のような…
見る者の「心」で完成する「作品」…
それが、「親父」宮崎の真骨頂。

トトロのエンディング、最後の台詞は
病院での両親の会話でした。
その後、ネコバスに乗って帰宅する姉妹も、
ばあちゃんやカンタと再会する部分も、夏以降の姉妹の暮らしも、
画だけで、台詞はありません。
現実問題、製作期間が押したのと、尺が延びたのをカットする為の
省略手法だったと思われますが、結果、画で見せるだけでも、
それで説明がつく!…それだけの力が画にあるから出来たんです。

「吾郎」ゲドは、どうか?
もちろん、美しい画作りは、なかなかいい仕上がりです。
しかし…どうも、観終わった感じ…説教臭い。
それは…画で無く、声優の台詞で出してるからです。
声優陣は、見事な芝居をしてくれています。一流です。
しかし…
あまりにも、語りすぎだし、饒舌すぎるのです。
観る者が膨らませる部分が、少ないのです。

もしかすると…「親父」宮崎が危惧していた…というのは、
アニメーションの仕上がりでは無くて、ソコだったのではないか?

ちょうど、今、一歩先に公開された「ブレイブストーリー」。
実は、主題的には「ゲド戦記」と共通する部分があります。
それは…人間の内面の成長。
本当の敵は、自分の中にある…表と裏の自分。
裏の自分を受け止める事が出来てこそ、
人間は強くなれる…他人にもやさしくなれる…
二つの作品は、同じ事を言っている…と確信しました。

でも、「ゲド戦記」では…涙腺は緩まなかった。
真正面から子供向けのはずの「ブレイブストーリー」は、
最後、涙腺が緩んだ。
「吾朗」宮崎には、何かが足らないんです。

何なのかは…一度見てください。



そう。
もうひとつ気になったのは…しわ。
たぶん、コレって高畑勲さんにも言えるんですが、
人物の表情シワを細かく入れてる為に、
少年なのに老けて見えるんです。
これもちょっと残念。

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「ダビンチコード」並みの 不評が話題の? 宮崎吾朗第1回監督作品 「ゲド戦記」 まずは 第1回監督作品としては 合格ではないでしょうか? 父「ハウルの動く城」のレベルと 同じぐらいでは? 「千尋」や「ハウル」に比べたら キャラクター的には落ちますが キャラクター商品を 売ろうとしていない姿勢は 評価しないといけません。 原作がファンタジー巨編なので アメリカのように シリーズ化にしないで 難解なこともあり �... [続きを読む]

受信: 2006年7月31日 (月) 09時33分

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